演奏法の進化 その1『出発』

「演奏法の進化」は、1987年にエメット・チャップマンさんに書かれ、音楽雑誌に出版された記事。日本語化は2002年ごろにラムジィによる和訳。ここで第一部を紹介します。その続きは楽しみにして下さい。


演奏法の進化
by エメット・チャップマン

1987年5月 Electronic Musician Magazineに出版

1969年にラーレル・カンニョンのスタジオでギターとキーボードを結ぶ奏法が生み出された。

emmett_evolution

エメット・チャップマンは、妻ユータとスティック・エンタプライズを経営する かたわらライブや講演を行っている。また、ソロでMIDI Stickをフィーチャーした ラテン・ジャズのセカンド・アルバムをリリースする予定がある。

一般的な意見とは違い、ギターでの両手タッピング奏法の原点は スタンリー・ジョーダンやエディー・ヴァン・ヘイレンではなく、タッピング・テクニック を使うギタリストにはエメット・チャップマンの影響が見られる。エメットが60年代の後半に この奏法を広め始め、そのタッピング・テクニックを最適に演奏できる楽器も作り出した。 それがStickであり、現在世界中の数千人ものプレイヤーに採用されている。

Stickは、殆どエメット個人の創作によるものである。新しい楽器をデザインする 理由と問題点、経済面、着想から完成までの時間、現在の形に至るまでの過程など、 その完成までの道のりを様々な視点から説明してもらった。

–クレッグ・アンダトン 
Guitar Player 誌 編集長

出発

私のミュージシャンとしての目的は、新しい表現方法を創ることでした。 即興を重んじ、観衆や一緒に演奏しているミュージシャンと新しい方法でコミュニケーション を取るために、全ての時代とジャンルの音楽を利用してきた。1959年に大学時代の自分の ボーカル・トリオの伴奏でギターを始め、バーニー・ケッセルのギター・トリオ・アルバム を聴き、ミュージシャンになる決心をしました。

1959年から1969年の間、自分のギターを自分の音楽に合うように改造しました。 自分の望む楽器を手に入れる為、自ら特別な仕様で楽器を作る必要がありました。まずは ネックを広げて伸ばし、表現性を増やすため、弦やばね、レバー等の新奇な装置を取り付けました。 これらの改造したギターで4年間楽しんだ後、両手タッピング奏法を発見しました。

ギターと違い、湾曲のない、幅が一足の長方形の指板(Stickの元になる) を作りました。3本の低いベース弦を、4度で下がる配列から5度で上がるように逆に 張り替えました。

60年代の後半までに、自分のギターや奏法を40回程変え続けました。最終的に 弦が9本と「ワイルド・ストリング」のレバーを採用しました。「ワイルド・ストリング」 はレバーの操作により高音のEからそのオクターブ下まで様々に調整できるものでした。また、 普通のピックとは異なり、ピックの形状にした小さい櫛を使いました。その櫛の歯を浅い角度で 持つと、普通のピックより弓の様な音がしました。(ギタリストは、この弾き方を 是非検討してもらいたいと思います。)

そして、1969年8月の夜に自分のラーレル・カンニョン・ヒルのスタジオで 練習していた時に不意にその時のはずみで両手タッピング奏法を始めていました。自分の 音楽に大きな影響を及ぼす事を実感し、大喜びで家の中を飛びまわりまた。

 

(c)1987年 Mix Publications

許しを得てElectronic Musician誌から転載

Sorry, comments are closed for this post.