演奏法の進化 その4『現在のStick』

演奏法の進化 by エメット・チャップマン

現在のStick

最初はブラジルの濃密な安定したアイロン・ウッドを木材として使いました。よじ曲げを防ぐ為、 黒エポキシに埋められた鋼ロッドをネックの裏にはめ込みました。

まだアイロン・ウッド・Stickを生産しているが、去年にポリカーボネイト樹脂で作られた 新しいモデルを導入しました。サステーンがアイロン・ウッドと殆ど同じだが、音色がより明るいです。 指板は平行で湾曲もテーパーもありません。両手演奏法では湾曲した指板は必要ではありません。 平行なものは製造が容易で、湾曲したものより触感的に分かりやすいです。

Stickの25フレット、10弦は5 1/4オクターブに渡ります。ベース・ギターと同じく、ブリッジからナット までは34インチです(約86cm)。カスタムのラウンド・ワウンドStick弦を販売しているが、相当ギター、 ベース弦も使用可能です(ベースの6、7弦目以外)。

木材のStickは大きいギター・フレットを使うが、ポリカーボネイトの場合、より大きい フレット・ロッズ(特許番号4633754)ステンレス鋼フレットを使います。フレット・ロッズが指板の鋳造された 溝にしっかり固定されています。指にたいして非常に滑らかで、ステンレス鋼なので弦に摩損されません。 従来の真鍮、アルミニウム等の柔らかい金属で作られたフレットは指板の溝にハンマーで打ち入れられても 左右揺れ動かずに水平におさまります。これに対してスティック・エンタプライズのフレット・ロッズは指板の 横から溝に差し入れることで硬いフレットを実現できました。

Stickはギターからできた楽器だが、音色が違います。金属の弦を金属のフレットに押さえる為、 クラビコード(ピアノの前身)のような音がします。少々乾いた、明確な音色がするが、ハーモニックスが多いです。 多くのギタリストに使われているプラスチック製ピックがより柔らかいので、より柔らかい音がします。

ステレオ・ピックアップはスタンダード・ダブル・コイル・ハムバッキング・ピックアップです。弦の比較的に 少ない振動を増幅するには、ノイズを完全に遮断するシールド対策が重要です。なぜか、金属ハウシングの場合、 高音が減少するので、4年前からは金属化プラスチック・ハウシングを使っています。ハウシングが射出成形され、 成形工程で導電の炭素グラファイト繊維をハウシングに射出します。これで優れたシールド対策ができたので、 弦をグラウンドする必要がなく、楽器がより安全です。ベース、メロディ・ピックアップの間には少々漏れがあるが、 将来的には光学のピックアップで解決できるでしょう。